えみため日記 

日はまた昇る! 言霊のさきはふ國 神づまり坐すこの國に 生まれたことのしあはせを♪

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 杉浦日向子さんが旅立たれて、早や四年が過ぎたのですね。本屋さんの棚に並んだ新装の文庫版『うつくしく、やさしく、おろかなり――私の惚れた「江戸」』(ちくま文庫)を見て思ひました。なにか、まだ、実感がない。いまだ船旅の途上で、ひよつくり帰つてこられるやうな…。

 杉浦さんが方々に書かれた短い文をあつめて編まれたこの本を、つひ最近図書館でみつけたばかりでした。本の題にもなつた、岡本綺堂作品集に寄せた一文「やさしく、うつくしく、おろかなり」をコピーして持ち帰り、なんどもくりかへしてよみました。

「これは江戸川の若旦那。なにをお調べになるんでございます」
 笑ひながら店先へ腰を掛けたのは四十二三の痩せぎすの男で、縞の着物に縞の羽織を着て、だれの眼にも生地の堅気とみえる町人風であつた。色のあさ黒い、鼻の高い、芸人か何ぞのやうに表情に富んだ眼をもつてゐるのが、彼の細長い顔の著しい特徴であつた。



「半七捕物帳」の第一作、「お文の魂」に初めて姿を見せる半七親分の、印象的な肖像。杉浦日向子は、それをほんのちよつと変へて、岡本綺堂の絵にしてしまひます。

 かれを生んだ作者は当時四十四五の痩形の長身で、紋付き羽織袴の威儀を正した姿の似合う、だれの眼にも立派な門をかまえる先生風であった。色の白い、端正な輪郭に、大師匠か何ぞのように潔癖の性質を映す真っ黒な瞳をもっているのが、彼の細長い顔の著しい特徴であった。



 なんと、みてきたやうな。杉浦日向子は”みてきた”人でした。ここに居ながら江戸の空気を嗅いでゐる、一帯にならぶ屋根瓦のうへの江戸の空をみてゐる人だつた。
「はやくここが江戸になったらいい」と言つたさうです。
 このひとのおかげで、江戸が近しいものに思はれた。いまや書店の書棚…といふか壁面を埋めてゐる”時代小説”の隆盛は、おほきに日向子さんの感化によつてゐるといへませう。

 ただ、「江戸三百年の知恵に学ばう!」的な見方は、チト違ふとおつしやる。
 うつくしく、やさしく、おろかなり。やくたいのなさ、おろかさをよくよく知りながら、

 でもかあいい。なによりだれよりかけがえないのだよ。

 おろかさのいとしさを、綺堂本に教はつて出直してこい、といふ。
 毅然としたその云ひぶりには、かあいい男がひどく誤解されてるのが腹立たしくてならないといふやうな、真摯な怒りが感じられるのでした。なにか、これは厳しくて、ただならぬ文章だわ…。愛することの覚悟を問ふやうな。

 あなたがさう云つたから、この一文を寄せられた「岡本綺堂集」を、及ばずながら読んでゐます。 
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